骨盤底領域疾患(直腸肛門疾患・骨盤臓器脱)の徹底解説
 
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肛門科の手術を受けたあとに再発することはあるの?



どんな達人でも再発を0にすることはできません。

しかし大腸肛門科の専門家とそうでない医師の間には、歴然とした結果の差があるのもまた事実です。



痔核: 痔核根治手術
ほぼ100%の方が一回の手術で治る。
ただしいきむ習慣のある人や便通管理の悪い人では、10年以上たって再び脱出することはありうる。

痔核: ジオン(硬化療法)
治験(発売前に専門医療機関でテストすること)では1年後の再発率は15%程度とされている。
それ以後の再発率は不明だが、 15%よりもっと高くなるということ。

自分の場合、大きくて再発しそうな痔核は、ジオンの予定を変更して根治手術を行うことが多い。
この方法であれば、術後の再発率はきわめて低くなる。

痔核: ゴム輪結紮(マックギブニー)
痔核根治手術より再発率が高い事ははっきりしている。
はじめから脱出する痔核の治療として行うことはまず無く、痔核根治手術を行う際の補助的な手段。

裂肛: 裂肛切除+LSIS
便通管理さえ問題なければ、ほぼ全員一回の手術で治る(97〜98%くらい)

裂肛: 強い狭窄に対し、皮膚弁移動術を施行
ほとんどが一回の手術で治るが、排便管理が悪い人だとまれに縫ったところが開いて再発することがある。

痔ろう: II型痔ろうに対し、切開解放術
ほとんど一回の手術で治る。再発率は1〜2%程度。

痔ろう: II型痔ろうに対し、シートン法
ほとんど一回の手術で治る。再発率は2〜3%程度。

痔ろう: II型痔ろうに対し、括約筋温存術
再発率は高い。10〜15%程度。

痔ろう: III型痔ろうIV型痔ろう(シートン法で行うことが多い)
再発率は4%程度。IV型痔ろうの再発率はもっと高くなる。

痔ろう: クローン病による痔ろう

以前は手術しても大半は完治せず、症状を軽くするだけの処置にとどまっていた。
現在では手術手技の向上とレミケードという薬の実用化により、かなりの率で痔ろうを治せるようになってきている。

尖圭コンジローマ
手術しても、体内にウィルスが残っている間はまた生えてくるので、追加切除を行う。
一回の手術で完治したら幸運と考えたほうが良い。

3割くらいのケースで、再発して追加切除が必要となる。
広範囲に広がったタイプのコンジローマであれば、5回以上の追加切除が必要となるケースもある。

毛巣洞
ほとんど一回の手術で治る。

膿皮症
小さいものはほとんど一回の手術で治る。
臀部に広範囲に広がっているものや、何箇所もあるものは再発することがある。

肛門ポリープ
切除すれば一回の手術で全員治る。

直腸脱
若い人と高齢者では治療方針が異なるので、成績も違ってくる。
若くて全身麻酔に耐えられる人であれば、腹腔鏡手術で直腸固定術を行えば、ほぼ全員が一回で治る。

高齢者の場合、全身麻酔をかけるにはリスクが高い場合が多い。その時には他の麻酔法で行うことが多い。
高齢者では直腸の固定がわるく、肛門の締まりもゆるくなっているので、全員を一回の手術でなおすのは難しい。
我々が行っているデロルメ法では、10%程度の再発率。三輪-Gant法ではもっと高い。

高齢者の直腸脱の場合、始めにデロルメ法を行うことが多い。
再発した場合には、再度デロルメ法を行うか、アルトマイヤー法というさらに一歩進んだ手術を行う。
再発を繰り返して、何度も何度も手術してやっと脱出しなくなるケースもまれではない。




決心して手術を受けるからには、「一発で治して欲しい」と考えるのは当然のことだと思います。

しかし残念ながら、100%の人を一発で治せる医師は存在しません。
どんな達人が手術を行っても、再発を0にすることはできません。

ただし大腸肛門科の専門病院で訓練を受けた専門家と、それ以外の医師の間には、歴然とした結果の差があることもまた事実です。


私はかつて総合病院の一般外科(胃、大腸、肝臓など消化器全般を扱う外科)で、癌の手術のかたわら時々痔の手術を行っていました。

その当時の自分と、大腸肛門科専門病院に所属して数千件の大腸肛門領域の手術に専念してきた現在の自分とでは、手術成績に圧倒的な差があります。


ここで示しているのは、我々の施設における手術成績です。

ご覧のとおり100%の方を一発で治すのは不可能ですが、大腸肛門科を専門としない病院の成績と比べると歴然とした差があるのは間違いありません。

手術をするにあたって、医師が「大丈夫です。私が100%一発で治します」と言ってくれたら頼もしいでしょうが、誠実な医師ほどそういうことは言えないと思います。

「どうしても一定頻度の再発は起こりうる」ということを納得した上で、手術を受けていただく必要があるのです。



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