骨盤底領域疾患(直腸肛門疾患・骨盤臓器脱)の徹底解説

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痔ろう手術後の再発について

・痔ろうの術式には、切開開放術、シートン法、括約筋温存術がある。
・浅い単純痔ろうは再発率が低い。
・深い複雑痔ろうは再発率が高い。
・切開開放術とシートン法の再発率は低い。
・括約筋温存術の再発率は高い。
・痔核のタイプ別における、各術式の再発率を示す。


長所
皮下痔ろう
(I型)

切開開放術が行われる。
ほぼ100%治る。


低位筋間痔ろう
(IIL型)


痔ろうのできる部位や深さによって、3つの術式を使い分ける。

切開開放術(通常背中側の浅いものに行われる)
再発率1〜2%程度

シートン法(通常前側方のものに行われる)
再発率2〜3%程度

括約筋温存術(通常前側方のものに行われる)
再発率10%程度


高位筋間痔ろう
(IIH型)


通常切開開放術が行われる。
再発率2〜3%程度


坐骨直腸窩痔ろう
(III型)

および

骨盤直腸窩痔ろう
(IV型)

III型痔ろうとIV型痔ろうは合併していることが多いので、同じ項目で記す。

切開開放術およびシートン法
再発率4〜5%程度

括約筋温存術
再発率15%程度

III型痔ろう単独では再発率はそれほど高くない。
IV型を合併していると再発率が高くなる。


(解説)

痔ろうの再発率は、痔ろうの複雑度と術式の二つで決まります。

再発に影響する因子のひとつは、「痔ろうの複雑度」です。
ごく浅い単純痔ろうはほぼ一発で治るし、深くて複雑なIV型痔ろうでは再発を繰り返すこともしばしばあります。

再発に影響するもうひとつの因子は、「術式」です。
もっとも再発率が低い術式は切開開放術で、次に再発率が低いのがシートン法(ゴム輪法)です。

いっぽう括約筋温存術(くりぬき法)の再発率は、ほかの術式と比べるとかなり高くなります。


多くの疾患には、専門家が集まって作成した「治療ガイドライン」なるものが存在します。
病気の状態をガイドラインに照らし合わせて治療すれば、一定水準の成績が見込まれるわけです。
たとえば大腸がんにも「大腸がん治療ガイドライン」が存在し、治療の標準化が図られています。

いっぽう痔ろうの治療方針は、全国の肛門科を専門とする医師の間でもかなり異なっているのが現状です。
日本国内で統一をみていないだけでなく、国によっても治療方針がかなり異なります。

ほとんどすべての痔ろうをシートン法や括約筋温存術で治療する医師もいるし、大半の痔ろうに切開開放術を行う医師もいるわけです。


治療方針のガイドライン化を目指して、大腸肛門科専門の学会でも毎年のように議論が続けられているのですが、結論に至るまでにはまだ時間がかかると思われます。



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