骨盤底領域疾患(直腸肛門疾患・骨盤臓器脱)の徹底解説

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痔核の治療法を比較する




痔核の治療法比較



長所 短所
薬の治療
(軟膏や座薬)
もっとも簡単に治療が行える。 治療効果はこれらの方法の中でもっとも弱い。
パオスクレー
(注射療法)
痔核に注射する方法。

外来で簡単にできて止血効果が高いので、出血する痔核に用いられる。
止血効果は高いが、脱出を治療する効果は低い。

あくまでも出血する痔核に対する治療法。
ジオン
(硬化療法)
痔核に注射する方法なので、手術と比べると痛みがきわめて軽い。

短期入院や日帰りでも対応できる。
再発率が高い(1年後で15%くらい)。

内痔核にしか使えない。内外痔核や外痔核には使えない。
マックギブニー
(ゴム輪治療)
外来で簡単にできるので、高齢者の内痔核などに用いられることがある。 内痔核にしか使えない。内外痔核や外痔核には使えない。

痔核根治手術と比べると再発率が高いので、あくまでも補助的な手段。
PPH
(器械を使う方法)
痔核根治手術と比べると痛みが軽い。

直腸粘膜脱や大きさの揃った内痔核に用いるときれいに治せる。


再発率は低いが、PPHが向かないタイプの痔核に行うと再発のリスクはある。
内痔核にしか使えない。内外痔核や外痔核には使えない。

一箇所だけ大きい痔核にも使えない。

大量出血のリスクがある(1%くらい)。
痔核根治手術
(けっさつ切除術)
ほとんど再発することなく、一発で治せる。

どんなタイプの痔核にも対応できる。

世界中の大腸肛門科で行われており、もっとも信頼のおける治療法のひとつ。
痔核を切る方法なので、多少の痛みを伴う。

数箇所切除する場合には、入院が必要となるケースが多い。

大量出血のリスクがある(1%くらい)。

各治療法のおおまかな位置づけ

薬の治療
I度〜II度の軽症の痔核に対するもっとも簡単な治療法。

パオスクレー
出血する痔核に対し、外来で簡単に処置したい場合。
これでも出血が続く場合には、痔核根治手術やジオンを考慮する。

ジオン
再発する可能性があるのを納得した上で、どうしても切りたくない場合

マックギブニー
痔核根治手術を行う際に、切除するほどでもない小さい内痔核があった場合に補助的に用いることが多い。
手術するにはリスクが高い超高齢者などに、痔核根治手術の代わりに用いることもある。

PPH
粘膜脱タイプの痔核(このタイプであれば、痔核根治手術よりきれいに治ることが多い)

痔核根治手術
一発で完全に治したい場合




(解説)

痔核の治療法は、上にあげたように色々な方法があります。

この中でパオスクレーは、あくまでも出血に対する治療法であり、脱出を治す効果はほとんどありません。
出血している痔核の場合、外来で簡単に行えるのでよく用いられています。

脱出する痔核の場合には、痔核根治手術、硬化療法(ジオン)、PPH、マックギブニーの4つの方法があります。
これらの治療法は、痔核のタイプに応じて正しく使い分ける必要があります。


痔核根治手術は昔から行われており、肛門科では基本となる術式です。
痔核根治手術は、どんなタイプの痔核でも対応可能なオールマイティな方法です。
痔を切り取る方法なので、どうしても多少の痛みは起こりますが、技術の進歩により以前と比べると痛みはかなり改善されてきています。
痔核根治手術の短所としては、術後に起こる大量出血の問題があります。これは痔核の術後に1%くらいの頻度で起こります。術者の技量により出血率はだいぶ違うのですが、どんな達人でも出血を0にすることはできていません。


ジオンは最近発売された薬です。
痔核根治手術と比べるとどうしても再発しやすいので、「痔を治したいが、どうしても切りたくない」という人にお勧めすることが多いです。
表で示したように、ジオンは内痔核には有効なのですが、内外痔核や外痔核には向いた方法とは言えません。


PPHは器械を用いて、痔核をリング状に切り取る方法です。
この方法はPPHが向くタイプの痔に用いると非常にきれいに治り、向かないタイプの痔に用いると失敗するので、正しい見極めが大事になります。
PPHが向くタイプの痔とは、大きさがそろった内痔核や、粘膜脱タイプの痔核などです。
いっぽう一か所だけ大きい内痔核や、外痔核にはPPHは向きません。
術後大量出血のリスクがあるのは痔核根治手術と同じです。


マックギブニー法は、痔核にゴム輪をかけてしばって落とす方法です。
簡単に出来るのですが、痔核根治手術と比べると再発率の高い方法です。
痔核の手術のときに、脱出する主役の痔核を切除し、他にある小さくて切除するほどでもない内痔核に対し予防的に使用することが多いです。
また、手術のリスクが高い超高齢者に用いられることもあります。


ここにあげたほかにも、かつては凍結療法、腐食療法、レーザー療法などいろいろな方法が全国の大腸肛門科専門病院などで試されていたのですが、有効性の劣る方法や合併症のリスクが高い方法は徐々に淘汰されてきており、現在ではこれらの方法はごく一部の施設で用いられているにすぎません。



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