骨盤底領域疾患(直腸肛門疾患・骨盤臓器脱)の徹底解説
 
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痔核根治手術(けっさつ切除術)

・痔核根治手術は、肛門科で最も数多く行われている手術のひとつ。
・痔核根治手術はほとんど再発することはない。
・痔核の進行度・タイプ・大きさなどに関係なくすべての痔核に対応可能。
・術後に起こりうるトラブルは、医師の技量・痔の状態・排便管理などに左右される。




痔核を図の点線の範囲で切除する。痔核は表面の浅い層にあるので、括約筋を傷つける心配はない。





皮膚を切開して・・・




痔核を外側からすこしずつはがしていく(剥離:はくり)。




剥離がだいぶ奥まで進んできた。



痔核全体の剥離が終わったところ。痔核に太い血管がつながっている。



出血しないように痔核を糸でしばる(結紮:けっさつ)



痔核を切除する。



傷のところを半分ほど縫合して終了。
外側は縫合せずに空けておく。
この縫合のしかたを「半閉鎖法」といい、もっとも広く行われている方法。




痔核を複数(2〜3か所)有していることもよくある。



このような場合には痔核をすべて切除する。




(解説)

痔核の手術というと、通常この結紮切除術のことを言います。
数ある肛門科領域の手術の中で、最も多く行われている術式です。

昔から痔核の手術法は色々とあったのですが、現在では最も成績の良いこの方法が広く世界中の肛門科専門医の間で行われています。

この結紮切除術は、どんなタイプの痔核(内痔核、内外痔核、外痔核)であっても、どんな進行度(I度〜IV度)の痔核であっても、どんな大きさの痔核であっても、痔ろう裂肛を合併している場合であっても対処可能であり、いわばオールマイティな痔核の治療法です。
(いっぽう最近普及しているPPHジオンなどの治療法では、あらゆる状況の痔核に対応できるわけではありません)

この手術は一見単純に見えるので、総合病院の外科などでは若手の手術入門として位置づけられていることが多いのですが、実際に数多く経験してみると奥の深い手術であることを思い知らされます。

正しい手術のポイントを押さえていない術者が痔核の手術を手がけると、実にさまざまなトラブルに見舞われてしまいます。

たとえば・・・
ひどい腫れ (ただし少々の一時的な腫れはどんな熟練者がやっても起こりうる)
強い痛み (個人差が大きいが、上手な医師がやった方が痛みは軽い)
肛門が狭くなる (肛門科の専門家がやればまず起こらない)
大量出血 (1%くらいの人に起こる。経験の浅い医師では数%)
難治創 (傷がなかなか治らないこと)
など、いろいろなトラブルが起こる可能性があるのです。

肛門科を専門とする医師がやればこれらのトラブルが0になるというわけではないのですが、専門家とそれ以外の医師では成績に明らかな差があることは間違いありません。

実を言うと私自身もこれまで数多くの課題に直面してきたのですが、数多くの訓練を積み、色々と工夫を重ね、全国の有名大腸肛門科専門病院を訪れて研修し、約3000例の痔核根治手術の経験を積んできた結果、現在ではトラブルの起こる頻度は激減してきています。



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