骨盤底領域疾患(直腸肛門疾患・骨盤臓器脱)の徹底解説
 
 よくわかる大腸肛門科 HOME病気を診断Q and Aプロフィール
 直腸肛門の病気直腸脱直腸瘤痔核痔ろう・膿瘍裂肛・狭窄
 骨盤臓器脱TVM手術メッシュを使わない手術保存的治療
 大腸内視鏡検査無痛大腸内視鏡検査大腸ポリープ・大腸がん



坐骨直腸窩痔ろう(ざこつちょくちょうかじろう:III型)の手術


・深くて複雑な痔ろう。

・手術難度がII型痔ろうより高く、変形や再発を生じる可能性もあるため、
 大腸肛門科の専門施設で手術を受けることを強くおすすめします。

・ここでは当院でもっとも多く行われているシートン法について解説。



原発口(A)から膿が入り、肛門の後方(尾てい骨の近く)に膿のたまるスペースをつくる。
これを原発巣と呼ぶ(B)。

そこからさらにトンネルが伸びていき、横の方に膿の出口をつくることもよくある(二次口)。


原発巣の真上から掘り進んで、原発巣のスペースを露出する。
中の膿のたまりをきれいに掃除する。

左右側方のろう管(痔ろうの管)も同時に掃除する



「原発巣を処理した場所」と「原発口」の間に特殊なゴム輪をかける。

このやり方をシートン法と呼ぶ。



左右側方の掃除したろう管にも、膿がたまらないようにチューブ(緑色)を留置しておくことが多い。


原発巣が適切に処理されていれば、奥の方から肉が盛り上がって治り始める。


さらに肉が盛り上がって、創が徐々に治ってくる。

側方のチューブは術後しばらくしてから抜けば、そのままふさがっていく。

ゴム輪は徐々に浅くなってくるので、ゆるんできたら医師がしめなおす。


さらに治癒過程が進んで、ゴム輪も浅くなってきたところ。

原発巣と左右側方の瘻管はほとんどふさがった。


最終的にゴム輪が脱落して治癒する。

この方法であれば変形もほとんど起こらず、再発率も低い。




(解説)

III型痔ろうは、深くて複雑な痔ろうです。

頻度としては痔ろう全体の15%程度で、それほど多いものではありません。

ただしわたしが所属しているような大腸肛門科の専門病院の場合には、複雑痔ろうの患者さんが他の病院から紹介されてくることが多いので、III型痔ろうの割合はこれより高くなっているようです。

III型痔ろうは深い位置にあり、痔ろうのトンネルも複雑に枝分かれしていることが多いので、II型痔ろうの手術と比べると難易度が高い手術です。

私自身、このIII型痔ろうとIV型痔ろうの手術を術者として300例ほど経験してきましたが、やはりII型痔ろうと比べるとなかなか一筋縄ではいきません。

経験が浅い頃には再発率も10%近くあり、成績がなかなか安定しませんでした。

近年では技術レベルの向上に伴い再発率はかなり低くなってきており、ここ1〜2年の再発率は3〜4%程度と、以前に比べて著明に改善されてきています。

この再発率を限りなく0に近づけるべく、世界中の大腸肛門科専門病院の間で努力が続けられています。



痔ろう・肛門周囲膿瘍の関連記事
痔ろう・肛門周囲膿瘍 まとめ痔ろうとはなにか・痔ろうの原因肛門周囲膿瘍とは肛門周囲膿瘍・痔ろうの症状肛門周囲膿瘍と痔ろうの関係肛門周囲膿瘍で膿を出したあとどうするか痔ろうのタイプについて痔ろうの予防法痔ろうを手術しないとどうなるか痔ろうの手術の前に大腸内視鏡検査を痔ろうの術式を比較する痔ろうの手術(切開開放術)痔ろうの手術(括約筋温存術)痔ろうの手術(シートン法)皮下痔ろう(I)の手術低位筋間痔ろう(IIL)の手術高位筋間痔ろう(IIH)の手術坐骨直腸窩痔ろう(III)の手術骨盤直腸窩痔ろう(IV)の手術クローン病の痔ろうについて異物による痔ろう・肛門周囲膿瘍壊疽性筋膜炎(フルニエ症候群)痔ろう癌とは痔ろう手術後の変形や便漏れについて痔ろう手術後の再発について