骨盤底領域疾患(直腸肛門疾患・骨盤臓器脱)の徹底解説
 
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直腸重積

・腸管壁がたるんで出口をふさいだようになり、便が通過しにくくなる。

・治療は便通を整えて強くいきまないようにする保存的治療が基本。

・保存的治療で改善しない場合には、手術を考慮する。






直腸重積は、排便障害の一種。

排便時にいきむと、腸壁が折りたたまれて肛門側に入り込んで出口をふさいだような形になり、便の通過がさまたげられることで排便障害が起こる。

「便がひっかかる」「いきんでも便が出ない」などの症状が起こる。


診断には排便造影検査が有効。

バリウムを直腸に入れていきませると、腸管壁がたるんで通過障害を起こしているのが確認される。


直腸がんでも似たような症状が起こるので、大腸内視鏡検査も必ず受けておく必要がある。


直腸瘤など、他の排便障害をきたす疾患を合併していることもある。


(治療)
原則として、別項で記した排便障害の治療(生活習慣の改善および薬)で対処を行う。

上記の治療で改善しない場合には手術を考慮する。



(解説)

この直腸重積という病気は、排便障害の一種です。

上図で示したように、排便時にいきむ際に腸管壁がはまりこんで、排便障害を起こすわけです。

直腸重積の診断には排便造影検査が必須です。
この検査を行うと、直腸瘤などの他の排便障害をきたす疾患が見つかることもあります。

また、排便障害を訴える方の場合には大腸がんが見つかる可能性があるので、必ず大腸内視鏡検査も受ける必要があります。


この病気の治療は、まず「便通を整えて強くいきまないようにする」という、通常の排便障害の治療を行います。

この保存的治療で症状が改善すればよいのですが、これで症状が改善しない場合には手術を考慮することになります。


直腸重積の手術は直腸脱の手術と共通しているところが多く、「経肛門的手術」と「経腹的手術」に分けられます。


●経肛門的手術(肛門側から行う手術。腰椎麻酔や局所麻酔でできるので、安全性の高い方法)
経肛門的手術には、デロルメ法・縦列縫縮術・硬化療法などがあり、疾患の状態に応じて最適な術式を使い分ける必要があります。

デロルメ法という術式は直腸脱に行われているものと同じです(参考)。
直腸重積にデロルメ法を行う場合には同じ操作を肛門より奥で行うことになるため、高い技術が要求されます。
(endorectal proctopexyとかinternal Delormeなどと呼ばれる)
直腸重積には直腸瘤を合併していることもよくあるのですが、多くの場合このデロルメ法を行うことで、直腸瘤も同時に修復されてしまいます。

また疾患の状況次第では、縦列縫縮術(腸管粘膜を内側から縫い縮めて固定する方法)や硬化療法(参考)などを行った方がよいこともあるため、最終的な術式決定は麻酔をかけて詳しく診察した上で行うことになります。
(さらに欧米ではS.T.A.R.R.という器械を用いた術式も普及しつつあるのですが、日本では健康保険の認可が下りていない状態です)


●経腹的手術(おなかを切って行う手術。全身麻酔が必要)
直腸重積に対する経腹的手術として、直腸脱の手術で行われているのと同じ「直腸固定術」という方法を行っている施設もあります。
腸管を仙骨という骨に固定することで、腸管がたるんで重積するのを予防するわけです。