骨盤底領域疾患(直腸肛門疾患・骨盤臓器脱)の徹底解説

 よくわかる大腸肛門科 HOME病気を診断Q and Aプロフィール
 直腸肛門の病気直腸脱直腸瘤痔核痔ろう・膿瘍裂肛・狭窄
 骨盤臓器脱TVM手術メッシュを使わない手術保存的治療
 大腸内視鏡検査無痛大腸内視鏡検査大腸ポリープ・大腸がん



直腸瘤のメッシュ手術(TVM手術)

ここ数年でわが国に普及してきた最新の直腸瘤の術式。

メッシュ本体を膣と直腸の間に留置し、アームを靭帯に固定してつり上げて補強する。

従来の方法では治すのが難しかった「重傷例」や「再発を繰り返す例」にも対応できるという長所がある。







直腸瘤に対するメッシュ手術(TVM手術)について。

膣後壁側にメッシュを留置するので、posterior-TVM(P-TVM)と呼ばれる。


あおむけで両足を開いて上げる体位(砕石位)で手術をするので、図の上側が膣、下側が肛門になる。

矢印のところが直腸瘤。





図のようなアームつきメッシュを用いる。

真ん中の部分をメッシュの「本体」といい、ここを膣と直腸の間に留置して、補強する壁の役割を果たす。

左右に伸びている部分を「アーム」といい、ここを靭帯に通してつりあげる。



(実際の術式)

膣壁を切開して開く



膣壁と直腸の間をはがしていく(剥離:はくり)


膣壁と直腸の間にメッシュを留置する



メッシュの「アーム」を靭帯に通してつり上げる。

アームのつっぱりが手頃なテンションになるよう調節する。



膣壁を縫合閉鎖して終了。


膣と直腸の間にメッシュ(青いライン)が留置され、膣と直腸の間の壁が補強されることで、直腸瘤が治る。



メッシュの「本体」が膣と直腸の間に留置され、「アーム」が靭帯を貫通してハンモックのようにつり上げている。



(解説)

この直腸瘤のメッシュ手術は、TVM手術(Tension-free Vaginal Mesh)と呼ばれています。
2000年ごろにフランスで開発され、ここ数年で我が国に普及してきた新しい術式です。

メッシュを用いて脱出する臓器を修復する方法は、元々そけいヘルニア(脱腸)の手術では長年行われてきました。
これを直腸瘤などの骨盤臓器脱の治療に応用したのが、ここで紹介するメッシュ手術になるわけです。


直腸瘤の手術で従来から行われていた経膣的手術の方法は、大きく分けて二つあります。(挙筋縫縮術と直腸膣隔壁欠損部修復術)
これらの「従来法」の術式は以前から世界中で広く行われてきたのですが、どうしても治療成績に限界があり、一定の割合で再発する可能性がありました(参考)

これらの「従来法」の術式は、膣の周囲にある組織(筋肉や筋膜)を縫合して補強することで、脱出する直腸瘤を修復する方法です。

でも直腸瘤を有する患者さんの場合には、もともと膣周囲の組織が弱くなっていることが多いため、この弱った組織を用いて修復してもうまくいかないことがあるのです。

この「従来法」の欠点を克服するために行われるようになった方法が、「直腸と膣の間にメッシュを留置して補強を行う術式」であり、そのメッシュ法をさらに進化させたのがここで紹介するTVM手術というわけです。


このTVM手術では、直腸と膣の間にメッシュを留置して、さらに左右のアームを靭帯に固定してつり上げることで直腸と膣の間の弱った壁を補強します。

直腸と膣の間の弱った部位を広範囲にメッシュでカバーし、さらにアームの補強も加わるので、従来の経膣的手術の方法(参考)と比べてさらに良好な成績が期待できます。

さらにこのTVM手術は、直腸瘤に高頻度で合併する子宮脱や膀胱瘤などの骨盤臓器脱という疾患にも対処できるというメリットもあります。



「直腸瘤」の関連記事
直腸瘤まとめ直腸瘤とはなにか直腸瘤はどの診療科を受診すればいい?直腸瘤の原因直腸瘤の症状直腸瘤はどんな人にできやすい?直腸瘤に合併する病気は?直腸瘤の診察直腸瘤の検査直腸瘤の治療(保存的治療)直腸瘤の手術:どの術式がいいの?直腸瘤だけ手術で治せばいいの?直腸瘤の手術(経肛門的手術)直腸瘤の手術(経膣的手術)直腸瘤のメッシュ手術(TVM手術)直腸瘤の手術成績