骨盤底領域疾患(直腸肛門疾患・骨盤臓器脱)の徹底解説

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直腸脱の手術(直腸固定術)

・おなかの中から手術して、脱出する直腸を正常の位置に固定する。

・最近では腹腔鏡という器械を用いて、小さい傷でできるようになった。

・経肛門的手術で対応できない直腸脱でも治すことができる。

・この手術は全身麻酔が必要で、かつ「おなかの中」から行う手術なので、
 手術の侵襲(ダメージ)もその分大きくなる。

・だからこの直腸固定術が行われる状況は限定される。




この手術は、肛門側からではなく「おなかの中」から行われる。

かつては下腹部を20〜30cmくらい切開して開腹手術を行っていたが、最近では腹腔鏡というカメラ器械を用いて、小さい傷でできるようになってきている。





直腸が脱出している状態を示す。

直腸の周囲はゆるい組織に囲まれている。

直腸を周囲からはがしてゆき(剥離:はくり)、直腸をぶらぶらにする。




ぶらぶらになった直腸をひっぱりあげて、正常の脱出していない位置に戻す。





特殊な医療用メッシュを、「仙骨」という腰の骨に固定する。

さらにこのメッシュの左右を、ひっぱり上げた直腸の壁に固定する。

これで直腸が仙骨に固定され、脱出しなくなる。




(解説)

直腸固定術は、おなかの中から行う手術なので、「経腹的手術」と呼ばれます。

経腹的手術は、「経肛門的手術で対応できない直腸脱でも治すことができる」という長所があります。

一方この経腹的手術は全身麻酔が必要であり、さらにおなかを切って内臓を切ったり縫ったりする必要があり、手術時間も経肛門的手術よりだいぶ長くかかるという短所があります。

だから我々の施設では、この経腹的手術を選択する状況は
「経肛門的手術で再発を繰り返す人」
「全身麻酔のリスクが低い若い人で、かつ重度の直腸脱を有する場合」 などに限定しています。

この直腸固定術はおなかの中から行う手術であり、さらに全身麻酔が必要となるため、若くて体力のある人であれば安全に行うことができます。

ただしほとんどの直腸脱は、かなり高齢の女性(80代の方が多い)に起こるため、われわれの施設ではこの術式の出番はそれほど多いわけではありません。

高齢の方では、全身麻酔が不要で侵襲(ダメージ)の小さい経肛門的手術(デロルメ法三輪-Gant法)が選択されることが普通です。



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