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痔の治療方針はどのように決まる? その2



「医師が治療方針を決める」ことでトラブルになりやすい例として、血栓性外痔核のケースが思い出される。

血栓性外痔核の治療方針には、軟膏をつけて血栓が吸収されるのを待つ方法(保存的治療)と、血栓をその場で取り除く方法(血栓切除)の二つがある。

外科医流の思考形式であれば、医師が自分の考えに従って治療方針を決めることになる。
大きくて痛みが強い血栓性外痔核であれば、「切った方がすぐ楽になるから切りますよ」と言ってその場で切除してしまう。
かつての自分はこのやり方だった。

でもこのやり方は、ときに患者さんに不満を抱かれることがあるのだった。
医学的に見ると切除するしかないようなケースであっても、あとで患者さんから「いきなり切られるとは思わなかった」と苦情が寄せられることがあるのだ。


何度か同じような経験をして、血栓性外痔核の対処法が少しずつ変わってきた。

今では血栓性外痔核の患者さんが受診してきた場合には、「小さい血栓なので、軟膏の治療がよいと思いますがそれでいいですか?」とか、「大きくて痛みが強そうな血栓なので、切除した方がいいと思いますがどうしますか?」というふうに、なるべく客観的な意見を言って、治療方針を患者さんに決めてもらうようになっている。

明らかに切った方がよさそうな重症の血栓でも、患者さんが自分から「切ってほしい」と言わない時には血栓を切ることはない。


それでも自分でどうしてほしいか決められない人もたまにいる。
そのような人の場合、いくら切除したほうがよさそうな血栓であっても、「しばらく薬で様子を見ましょう」と言うようにしている。

時間をかけて説得する方法もないわけではないが、忙しい診療の合間にそんなことする余裕もあまりないし、下手すると患者さんに「自分は切りたくなかったのに、医師が強く勧めるからしょうがなく切った」などと思われるのも心外である。


だから血栓性外痔核で私のところを受診して、治療方針を自分で決められない人は、即座にクスリ処方となるのであった。

重症の血栓であれば、薬をつけただけでは当然よくならないので、数日後に「やっぱり切って下さい」といってまた来院してくる。
その時には本人も納得しているので、血栓を切除しても苦情をいただくことはない。

このやり方は一見医師が弱腰に見えるし、二度手間になるのでいい方法とは思っていないのだが、インフォームドコンセントが声高に叫ばれるご時世で納得度の高い医療を行うにはやむを得ないのだろうと考えている。



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