骨盤底領域疾患(直腸肛門疾患・骨盤臓器脱)の徹底解説
 
 よくわかる大腸肛門科 HOME病気を診断Q and Aプロフィール
 直腸肛門の病気直腸脱直腸瘤痔核痔ろう・膿瘍裂肛・狭窄
 骨盤臓器脱TVM手術メッシュを使わない手術保存的治療
 大腸内視鏡検査無痛大腸内視鏡検査大腸ポリープ・大腸がん
 全国最大級の大腸肛門科・骨盤底外科専門病院 辻仲病院柏の葉(柏市)



子宮脱と直腸脱の合併例


高齢の女性では、子宮脱と直腸脱を合併していることがある。

子宮脱と直腸脱の両方に対応できる病院は、全国的にも数少ない。


手術すればほとんどの場合再発なく治せる。もし再発した場合には次の手を打つことで全員治せている。







子宮脱と直腸脱合併例の写真 (外国のサイトから引用。了承の上閲覧ください)



高齢の女性では、子宮脱と直腸脱を合併していることがある。

※子宮脱は「膣」から子宮が脱出してくる病気。直腸脱は「肛門」から直腸が脱出してくる病気。
  「膣」から脱出するのは子宮脱のほかに、膣脱・膀胱瘤・直腸瘤・小腸瘤などもある。


治すには手術が必要。

子宮脱はTVM手術を行う。
直腸脱はデロルメ法または三輪-Gant法を行う(直腸脱の状態で使い分ける)

この方法であれば、
膣側・肛門側から(おなかを切って内臓を切ったり縫ったりする必要が無い)
比較的短時間で(それぞれ1時間くらいで行える)
小さい侵襲(ダメージ)で行え、
良好な成績が得られるようになっている(大半は再発無く治せる)






(解説)

高齢の女性では、子宮脱と直腸脱を合併していることがあります。

このような場合、どこの病院で治療を受けるかが問題となります。
子宮脱を取り扱うのは婦人科や泌尿器科だけど、直腸脱は守備範囲外です。
いっぽう大腸肛門科では、直腸脱は治せるけれど、子宮脱は守備範囲外です。

私の所属する施設は大腸肛門科の専門病院なので、かつては当院で直腸脱の手術だけ行って、子宮脱の手術は他院に紹介していました。
でもこのやり方では、患者さんが二か所の病院で手術を受ける必要がありました。

子宮脱と直腸脱を合併する人の多くは、80代90代の高齢者です。
これだけ高齢の方が、二か所の病院で手術を受けるのは大変なことです。
すべての方が、「一か所の病院で両方治してほしい」と考えるのは当然のことでしょう。

でも以前は、子宮脱と直腸脱の両方に対応できる病院はありませんでした。
「それなら自分が両方治せるようになろう」と決め、大腸肛門外科から守備範囲を広げ、2009年頃より骨盤臓器脱に本腰を入れるようになったという経緯があります。


現在私(赤木)は、年間10〜15例くらいのペースで「子宮脱と直腸脱の合併例」に対する手術を行っており、2018年の時点で通算80例ほど手がけています。
「そんなに多くないのでは?」と思われるかもしれませんが、もともと直腸脱自体が頻度の低い疾患で、直腸脱と子宮脱の合併例はさらに数が少なくなるため、これでも全国最多の件数だと思います。

このうち現時点で再発を認めたのは、子宮脱が2例、直腸脱が1例です。(再発は将来もう少し増えるかもしれませんが)
「100%の人が一発で治る手術」はこの世に存在しないけど、だいたい95%は一発で治せているということです。
そして再発した場合には次の手を打つことで、最終的に全員治すことができています。


子宮脱や直腸脱の手術には、ここで示した「膣側・肛門側から行う方法」のほかに、「おなか側から行う方法」もあります。
これは腹腔鏡というカメラを使って行う手術です(腹腔鏡下仙骨膣固定術+直腸固定術)。
こちらの方法でも良好な成績が得られているようなのですが、体にかかる侵襲(ダメージ)が大きいという短所があります。
おなかの中から内臓を切ったり縫ったりする必要があり、手術時間も長くなるため、高齢者に行うにはリスクが高くなることがあるのです。
そのためわれわれの施設では、体への侵襲が小さい、「膣側・肛門側から行う方法」を第一選択としています。



「骨盤臓器脱」の関連記事
骨盤臓器脱徹底解説 骨盤臓器脱とは 原因 頻度 症状 どこを受診すればいい? 検査 治療
メッシュを用いた手術(TVM手術) メッシュを用いない手術  保存的治療 子宮脱と直腸脱の合併例
外来診察の流れ 検査・入院・手術の流れ 手術成績 Q and A 学会発表・講演・論文・著書など