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内視鏡で治せる大腸がんと治せない大腸がん

・大腸がんは内視鏡で治せるものと治せないものがある。
・リンパ節に癌が転移している恐れのないごく浅い癌は、内視鏡だけで治せる。
・リンパ節に癌が転移している恐れがあるものは、手術が必要となる。




内視鏡で治せる大腸がんと治せない大腸がん1 良性の大腸ポリープであれば、内視鏡で切除して治せる。
内視鏡で治せる大腸がんと治せない大腸がん2 早期大腸がんの場合、内視鏡で切除して治せる病変かどうかをくわしく調べる。
内視鏡で切除して治せそうなものであれば、切除する。

切除した大腸がんは、回収して顕微鏡でくわしく調べる。
その結果「リンパ節転移の可能性はない」、または「リンパ節転移の可能性が0ではない」という判定がなされる。

「リンパ節転移の可能性がなく、完全に切除されている」という判定がでれば、治療は完了。
内視鏡で治せる大腸がんと治せない大腸がん3 「リンパ節転移の可能性が0ではない」という判定がでた場合、手術で腸を切除したほうがよい。

ただし内視鏡で切除した大腸がんを顕微鏡で調べても、リンパ節に転移しているか否か正確に分かるわけではない。
あくまでも、リンパ節転移の可能性が「0ではない」ということしか分からない。


この場合、手術で大腸を切り取ってみないと、実際にリンパ節に転移しているかどうかは現代の医学ではわからない
内視鏡で治せる大腸がんと治せない大腸がん4 「リンパ節転移の可能性が0ではない」という判定がでた場合、もし内視鏡の治療だけで終了すると、一定の割合の人でリンパ節にがん細胞が転移していることになる。

この場合、内視鏡の治療だけで終了してしまったら、リンパ節に転移したがん細胞は体内に取り残されて致命的となる。
内視鏡で治せる大腸がんと治せない大腸がん5 進行大腸がんになると、リンパ節転移の有無にかかわらず内視鏡では切除できない。

手術が必要。


(解説)


大腸ポリープと大腸がんの関係」で説明したように、大腸がんの多くは「良性大腸ポリープ→早期大腸がん→進行大腸がん」といった順序で進行していきます。

「良性大腸ポリープ」の段階であれば、内視鏡で完全に治すことができます(大腸ポリペクトミー)。

逆に「進行大腸がん」は内視鏡で治すことができず、手術で大腸を切除するしかないので、こちらも治療方針について悩む余地はあまりありません。

治療方針を決める際に問題となってくるのは、この両者のあいだに位置する「早期大腸がん」のケースです。

早期大腸がんは、内視鏡で治せるものと治せないものに分かれます。
そして早期大腸がんを内視鏡だけで治せるかどうかは、「リンパ節にがん細胞が転移しているか否か」で決まります。

大腸がんは大腸の管の内側に位置しています。大腸がんが進行して一定の段階にいたると、がん細胞は大腸の管の外側にあるリンパ節に飛び火して「転移」します。

内視鏡は大腸の管の内側にある病気しか治すことができないので、管の外側にあるリンパ節にがん細胞が転移していても無力です。
ですから、リンパ節にがん細胞が転移している大腸がんを治すには、手術で大腸をリンパ節といっしょに切除しなければなりません。

残念ながら、現在の医学では、がん細胞がリンパ節に転移しているかどうかを治療前に正確に知る方法はありません。

これまでの膨大な大腸がんの解析結果を参考にして、「この程度の早期大腸がんであればリンパ節に転移している可能性は0なので内視鏡治療だけで大丈夫」とか、「この程度であれば転移の可能性が何%ほどあるので手術した方がよい」というふうに判定しているわけです。
だから、「リンパ節に転移している可能性は高くないけれど、リスクは0ではない」という理由で手術を受けざるを得ないケースがよくあるのです。

手術する前の段階からリンパ節に転移しているかどうかを正確に知ることができたら、内視鏡だけで治せる早期大腸がんの割合を飛躍的に増やすことができ、無駄な手術を減らすことができます。
しかし現代の医学では、それはまだ実現できていません。


結局、早期大腸がんと思われる病変が見つかった場合には、以下に示したような手順を踏んで治療が進行していくケースが多いです。

・内視鏡でくわしく調べて、内視鏡治療で治せそうな病変かどうかを判定する(拡大内視鏡検査や超音波内視鏡検査といった特殊な検査が行われることもある)。

・内視鏡治療で治せそうな病変であれば、それを内視鏡で切除する。

・切除したものを顕微鏡でくわしく調べて、完全に切除できているか、どの程度深くもぐりこんでいるか、リンパ節に転移している可能性がどの程度あるかということを判定する。

・内視鏡治療だけでは再発する可能性がある場合には手術を勧める。可能性がない場合には経過を観察する。



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