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大腸内視鏡検査:難しいのはどんな人? その2 


(3)体型

大腸内視鏡検査は、中肉中背の人のほうが簡単なことが多い。

特に中肉中背の中年(40〜60歳くらい)男性であれば、そこそこの腕の医師がやれば2〜3分で挿入が完了することも多い。
痛がらせることもまずない。

一方かなりやせている人では、検査がやや難しいことがある。
中高年の女性がこのような体型の場合、小さいおなかに長い腸が収納されている。
そのため大腸が急角度になっており、軸保持の操作に苦労させられることがしばしばある。

そしていちばん要注意なのが、太鼓腹の太った男性である。
このケースでは、ときに苦戦を強いられることがある。

S状結腸を軸保持でクリアできればあとはスムーズに事が運ぶが、何らかの事情でSを伸ばしてしまうとあとでツケが回ってくる。
S状結腸がどこまでも伸びていき、腹部を圧迫しても効果がなく、押しても引いてもダメという情けない状況に陥ることがある。

太鼓腹だけならまだマシで、前処置が悪くて便が残っていたり、腸のspasmが強くてS状結腸を伸ばしてしまったようなケースだと、苦戦するのを覚悟しなければならない。

さいわいこの太鼓腹は予測可能であり、対処法も存在するので、ここ数年で挿入不能に陥ったケースはない。


(4)腹部手術歴

子宮や卵巣などの下腹部の手術を受けた女性の場合、ときにS状結腸が癒着していることがある。
この場合、どうしても腸を自分の思うような形にコントロールできないことがある。

私が辻仲病院に来てから、大腸内視鏡検査を15000例ほど手がけてきたが、その中で回盲部(大腸の一番奥)まで挿入できなかったケースが6〜7例ほどあったと思う。
これらの挿入失敗例は、ほとんどが腹部手術の既往による癒着か、もしくは多発大腸憩室で大腸がガチガチになっているケースが原因だった。

この場合Rs(直腸)を通過したあたりから腸がガチガチになっており、scopeがまったく奥に進めなくなってしまう。


大腸内視鏡検査の経験がある医師には周知のことであるが、この「腸の癒着」は、検査に失敗した医師の言い訳として用いられることがよくある。
私も経験が浅かったころ、ときどきこの言い訳をしたことがある。

私の所属している大腸肛門専門病院には、他の病院で大腸内視鏡検査が失敗してひどい目にあわされ(ほとんどが女性)、「腸が癒着しているから難しかった」と言い訳された人がよくやってくる。

でも検査してみると、実際に癒着しているケースはそう多くない。
挿入困難になるほどの強い癒着例はごく一部にしか認めなかったりする・・・


まとめ:私が大腸内視鏡検査を行う際に要注意と思っているケース
(もちろんすべてのケースで全力をつくしておりますが・・・)

・体が小さいおばあちゃん
S状結腸の屈曲が強く、さらに前処置も悪いことがあるので、挿入にてこずることがある。

・若くて(10〜30代)びびっている女性
腸のspasmが強く、軸保持のコントロールが難しいことが多い。
過敏な人が多く、通常の人では何ともないようなちょっとした操作でも痛がることがある。
経験の浅い医師がやると、時に絶叫部屋になる。
下剤も最後まで飲めないことが多く、検査後に気分不良を訴えることも多い。
苦労して検査しても、若い女性に異常がみつかることはめったになくてたいてい徒労に終わる。
中肉中背中年男性を検査する場合と比べると、何倍も精神的ストレスがたまったりする・・・

・アンコ型力士体型の男性(太鼓腹ともいう)
S状結腸の処理がうまくいかないと、たまに腸が伸びまくって大汗をかくことがある。

・そして、前回の検査記録に「難しかった」と書いてあるケース
上手な医師が「難しかった」と記録に書いている場合、たいていの場合本当に難しい。
そうでない医師が「難しかった」と記録に書いている場合には、単なる自滅…(以下略)

※腹部手術の既往がある人を検査する場合、実際に癒着があって苦労させられるケースは多くない。



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