骨盤底領域疾患(直腸肛門疾患・骨盤臓器脱)の徹底解説
 
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奇異性排便時収縮

・肛門挙筋が排便時に異常な動きをすることで、排便障害が起こる。
・決定的な治療法は確立されていない。


通常排便の時には、直腸〜肛門がまっすぐに近くなることで便が直腸からスムーズに排出される。

奇異性排便時収縮の場合には、排便時に肛門挙筋によって直腸が前方に圧迫されてしまう。

通常の排便とは逆に、直腸の角度がきつくなって便が通過しにくくなる。


(症状)
「いくら強くいきんでも便がでない」と訴えるケースが多い。

(診断)
排便造影検査で診断をつける。
バリウムを直腸に入れていきませると、正常の排便とは逆に直腸〜肛門の角度がきつくなって排便が障害される。

(治療)
保存的治療(便通のコントロール)を行う。決定的な治療法は確立されていない。




(解説)

この奇異性排便時収縮という聞き慣れない病気は、排便障害の一種です。

人間の直腸〜肛門は、ふだんは肛門挙筋という筋肉の働きで直腸がぴったり閉じられており、便が漏れないようになっています。
排便をするときに、この肛門挙筋のしまりを緩めることで便が排出されるわけです。

この奇異性排便時収縮の場合、排便しようとしていきむと、通常とは逆に肛門挙筋が収縮してしまいます。
排便したいのに直腸が圧迫されるので、いくらいきんでも便がでにくいわけです。

この病気は、決定的な治療法は確立されていません。
「便通を整えて強くいきまないようにする」という、通常の排便障害の治療を守ってもらうのが第一となります。

一部の大腸肛門科専門病院では、バイオフィードバックという機能訓練で治療しているそうなのですが、我々の施設ではやったことがありません。

以前は肛門挙筋を一部削ることで圧迫を軽減する手術が行われていたそうなのですが、有効性の評価は定まっていないようです。

この病気に限らず、直腸瘤直腸重積といった排便障害をきたす病気の場合、手術してもかならずしも全員が改善するわけではありません。