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会陰裂傷(えいんれっしょう)

・分娩の際に膣と肛門の間が裂け、会陰(膣と肛門の間にある組織)がきわめて薄くなる。
・このとき肛門括約筋も同時に傷ついてしまう。
・便やガスが漏れるようになり、性行為にも支障をきたす。
・会陰裂傷は保存的治療(薬)では治らないので、手術が必要となる。


(原因)

会陰裂傷は経膣分娩の際に膣と直腸の間が裂けて生じる。

会陰裂傷が起こった場合、通常分娩直後に産科医師が縫合を行うが、縫合がうまくいかなかった場合には会陰が裂けたまま傷が治ってしまい、便やガスが漏れるようになる。(陳旧性会陰裂傷)


会陰裂傷1会陰裂傷2


膣出口と肛門の間には、会陰という丈夫な組織がある。
(青矢印および青点線の領域)

この会陰の中には、肛門括約筋という肛門を締める筋肉が存在する。
会陰裂傷3会陰裂傷4
出産時にこの会陰が裂けてしまうことがある。
これを会陰裂傷という。

重症の会陰裂傷では、肛門括約筋も同時に断裂してしまう。

通常は分娩直後に産科医が縫合を行うのだが、縫合がうまくいかなかった場合には会陰が薄い状態のまま傷が治ってしまう。
(青矢印)

この場合肛門括約筋も同時に断裂した状態で治ってしまうため、便やガスが漏れるようになり、性行為にも支障をきたす。




(治療)

会陰裂傷は保存的治療(薬など)では治らないため、手術が必要となる。

手術は「会陰形成術」という方法で行う。

会陰裂傷5


会陰に横方向の切開を加える。
会陰裂傷6


皮下を剥離(はくり:はがしていくこと)していくと、断裂した肛門括約筋があらわれる。

会陰裂傷7


肛門括約筋の周囲を剥離して、縫合しやすい状態にする。

会陰裂傷8


肛門括約筋を正中(まん中)に寄せて縫合する。

このとき肛門括約筋を重ね合わせるようにして縫合を行う。(overlapping repairという)

状況によっては、会陰の左右に存在する「肛門挙筋」という筋肉を、正中に寄せて縫合することもある。

会陰裂傷9

皮下組織および皮膚をタテ方向に縫合して終了。

薄くなっていた会陰は、上記の操作で十分な幅が確保される。



(解説)

会陰裂傷は、経膣分娩の際に膣出口と肛門の間が裂けて生じる疾患です。

この会陰裂傷が生じた場合には、通常分娩直後に産科医が縫合を行います。
多くの場合これだけで問題なく治ってしまうのですが、縫合がうまく行かなかった場合には会陰が裂けたまま傷が治ってしまうことになります。

この会陰が裂けたまま治ってしまった状態のことを、陳旧性会陰裂傷(ちんきゅうせいえいんれっしょう)といいます。

このとき肛門括約筋(外括約筋および内括約筋)が損傷していると、便がガスが漏れるようになるため、患者さんは大腸肛門科を受診するわけです。


この陳旧性会陰裂傷を治すには手術が必要です。

真ん中から断裂して左右に引っ込んでいる肛門括約筋を探し出して、この肛門括約筋を真ん中で縫合します。(括約筋形成術)

括約筋は、上図で示したような「重ね合わせて縫合する方法」と、もうひとつ「左右の端っこ同士を縫合する方法」があるのですが、研究の結果「重ね合わせて縫合する方法」(overlapping repair)の方が成績が良いことが分かってきたので、われわれの施設でもこの方法で行うようにしています。

会陰裂傷の状況によっては、上記の括約筋形成術に加えて、会陰の左右に平行に存在している「肛門挙筋」という筋肉を真ん中に寄せて縫合することで、さらに丈夫な会陰形成を図る場合もあります。
(前方挙筋形成術:anterior levatorplastyといいます)


(すこしマニアックな解説でした・・・)





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