骨盤底領域疾患(直腸肛門疾患・骨盤臓器脱)の徹底解説
 
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7 至高の大腸内視鏡検査とは


偉そうなことをいろいろ書いてきたが、わたしも以前は「普通の軸保持」をやっていた。
そしてその方法では、5000例を超えた頃に限界を感じ始めた。

それまで自分が行っていた「普通の軸保持」のやり方では、私が「真の達人」だと思っていた一握りの大腸内視鏡検査の上級者と比べると、どこかに差があるのは明らかだった。

大腸内視鏡検査の新しい挿入法を確立すべく、それまでに得られた経験や膨大なメモをもとに、新しいスタイルを模索していった。

そして試行錯誤を繰り返した結果、大腸内視鏡検査の経験数が7000〜8000例あたりに達した頃には、明らかにそれまでと違ったスタイルの挿入法に変わっていた。

そしてその段階で周りを見回してみると、驚いたことにその挿入法は、上級者たちがやっていた私が理想とする挿入法と似通っていることに気づいた。

「普通の軸保持」に限界を感じ、大腸内視鏡検査の新しい挿入法を模索し始めた頃には、自分が求めていたものがすぐ近くにあることに気づいていなかったのだった。


自分にとって、これは驚くべき発見だった。
上級者を真似してそれに追いつくという上達スタイルではなく、自分で試行錯誤して獲得した技術が、結局上級者と同じスタイルだったのだから。

そしてこの成功体験を大切にしようと思い、この大腸内視鏡挿入法を勝手に「(大腸に)優しい軸保持」と呼んでいる。


私の場合、大腸内視鏡検査の技術レベルで一皮むけるきっかけを得た時期が、先述したように5000例あたりであった。
ある程度経験を積んで、「気づき」が蓄積されないと次の段階には至れないということだろう。

ただ経験数が増えるにつれてだれでもレベルが上がるというものでもないようで、10000件以上の大腸内視鏡検査の経験があると言っていたのに、普通のループ挿入法(達人のループ挿入法はまた別)でたびたび患者さんに悲鳴をあげさせている医師も見たことがある。


そしてこの深遠なる大腸内視鏡挿入法の世界には、「優しい軸保持」のさらに上のレベルの「至高の挿入法」があるのかもしれない。

この「至高の挿入法」は、自分には未知の領域である。それが実際に存在するかどうかも定かではない。

残念ながら、今の自分がこの「至高の挿入法」を行っている医師に遭遇しても気づかずに終わるかもしれない。

かつて何度も見学に通わせていただき、私個人が日本一の無痛大腸内視鏡検査の名手と思っているS先生は、もしかするとこの「至高の挿入法」の存在をご存知なのかもしれない。


大腸内視鏡検査の修行は果てしなく続く・・・



圧倒的に楽な大腸内視鏡検査を目指して 終



1 大腸内視鏡の挿入法には、「ループ挿入法」と「軸保持短縮挿入法」がある2 軸保持短縮挿入法には、「普通軸保持」と「優しい軸保持」があると思っている3 大腸内視鏡検査と手術の共通点4 大腸内視鏡の挿入法を、空手 vs. 太極拳になぞらえてみる5 内視鏡室の看護師たちが、医師の実力を一番シビアに見ている6 「優しい軸保持」がわかりつつあると思えるようになってから、面白い現象が起こった7 至高の大腸内視鏡検査とは


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