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圧倒的に楽な「至高の大腸内視鏡検査」を目指して


この文章は、自分が大腸内視鏡検査の修行中に書き連ねていた無数のメモなどを、あらためて文章形式に編集しなおしたものです。



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1 大腸内視鏡の挿入法には、「ループ挿入法」と「軸保持短縮挿入法」がある


大腸内視鏡検査は、一般に「痛くて苦しい検査」の代表格と考えられている。

こんな悪評が世間に広まっているので、大腸がんが疑われる人ですら大腸内視鏡検査を受けるのをためらうことがある。
その結果、大腸がんで命を落とす人を増やすことになりかねない。

だから、「楽で痛くない大腸内視鏡検査」を社会に提供するのは、大腸肛門科を専門とする医師の使命であると考える。



大腸内視鏡の挿入法には、大きく分けて2つのやり方がある。

それは、「ループ挿入法」と「軸保持短縮挿入法」の2つである。
この言葉は大腸内視鏡検査をかじったことがある医師ならだれでも知っている。

そしてさらに、軸保持短縮挿入法には、「普通の」軸保持短縮(以下普通軸保持と表記)と、「(大腸に)優しい」軸保持短縮(以下優しい軸保持と表記)があると思っている。

この「普通軸保持」と「優しい軸保持」は、私の造語である。

「普通軸保持」とは一般的に知られている軸保持短縮挿入法のことであり、「優しい軸保持」とは普通軸保持を経験した者のうちごく一部の者がやっている挿入法のことを指している。


なお、ここで示すループ挿入法とは、一部の「ループ挿入法のエキスパート」を除いた、大多数の「平均的な医師が行うループ挿入法」のレベルをさしている。

ループ挿入法であっても、一部の医師はすばらしい技術をもっていることを私は知っている。

その達人たちの技術は本やビデオなどで十分認識した上で、敬意を払っているつもりであるので以下の文面はご容赦いただきたい。


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(平均的な)ループ挿入法と軸保持短縮挿入法の違いは、素人目にも分かりやすい。

見るからに「挿入の手順」や「モニターに映る腸の画像」が違うし、苦痛にも明らかな差が生じることが多い。

(平均的な)ループ挿入法では、ほとんどの場合S状結腸が「ビヨーン」と伸びて、腸が土管のように見える光景があらわれる。
そして患者さんが痛がって悲鳴を上げる最初のポイントは、まさにこの「ビヨーン」のときが多い。

軸保持短縮挿入法(特にわれわれが行っている無送気軸保持短縮挿入法)では、画像はいつも水で満たされておりクシャクシャの腸しか見えないことが多い。
腸を伸ばさないため、ループ挿入法でみられる「ビヨーン」がめったに起こらない。よって患者さんがS状結腸で痛がる頻度は圧倒的に少なくなる。


もちろん無送気軸保持短縮挿入法であっても、結果的に腸が伸びてループ挿入法のようになることはある。

ただし「はじめからループ挿入法で挿入した場合」と、「無送気軸保持短縮挿入法を目指したが、結果的にループ挿入法のようになった場合」では、苦痛に明らかな違いがある。


「普通軸保持」と「優しい軸保持」の違いは、素人目には一見わかりにくい。
素人が傍からしばらく見ているだけでは、多分この両者間の違いに気づかない。


「普通軸保持」と「優しい軸保持」の技術の差は、まず全体的な安定感に現れる。

「優しい軸保持」を習得した医師の大腸内視鏡検査は、きわめて安定している。
圧倒的に速い挿入をしない(やろうと思えばできるのだが)かわりに、ほとんど「ハマる」ということもない。

挿入の平均時間が短くなるというよりも、どの症例でも同じように安定した時間で挿入できるようになる。


そして「普通軸保持」と「優しい軸保持」の差は、痛みにも現れてくる。

「普通軸保持」であっても、「(平均的な)ループ挿入法」と比べると、痛みを生じる可能性が少ないのは間違いない。

そしてさらに「優しい軸保持」を習得している医師は、「普通軸保持」よりもさらに痛み生じる可能性が少なくなる。



1 大腸内視鏡の挿入法には、「ループ挿入法」と「軸保持短縮挿入法」がある2 軸保持短縮挿入法には、「普通軸保持」と「優しい軸保持」があると思っている3 大腸内視鏡検査と手術の共通点4 大腸内視鏡の挿入法を、空手 vs. 太極拳になぞらえてみる5 内視鏡室の看護師たちが、医師の実力を一番シビアに見ている6 「優しい軸保持」がわかりつつあると思えるようになってから、面白い現象が起こった7 至高の大腸内視鏡検査とは


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