骨盤底領域疾患(直腸肛門疾患・骨盤臓器脱)の徹底解説
 
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大腸内視鏡検査:300、1000、5000の壁 (初級・中級レベル)



1000〜5000例:初級

検査成功率が99.5〜99.8%(200人〜500人に1人挿入できないレベル)

回ってくる症例の男女比が半々になってくる。
男性はあまり痛がらせなくなってくるが、女性は時に痛がらせてしまう。

軸保持の感覚が分かってくるが、まだscopeが腸の言いなりになっていることが多い。
自分で大腸を制御して軸保持に持っていくのはまだ難しい。

クリニックで医師一人でやる場合、一日40〜50人の外来診療をやりながら5〜6件の大腸内視鏡検査をなんとかこなせるようになる。
ただしときどきひっかかって外来が混乱に陥ったり、時間内に終わらず一時間近く残業になることもある。


内視鏡を専門とせず、他の診療の片手間に大腸内視鏡検査を行っている医師であれば、これだけできれば十分ではないかと考えている。
これくらいできるようになったら、もっと診療の守備範囲を広げて地域医療のニーズに応えられるようになる医師を目指した方が、社会全体に貢献できるのではないか。

全員が中級以上の大腸内視鏡の技術を目指す必要はなく、高いレベルが要求される場合には、各地域に何人か存在するスペシャリストに任せておけば十分なのかもしれない。
(大腸肛門科の専門病院に長年在籍し、専門バカになりつつある自分への自戒も込めて・・・)


5000例以上:中級

検査成功率が99.9%くらいで安定する。
年間1000例やるとして、年1例失敗するかしないかという程度。
私が所属している専門病院では、常勤医が年間1000例やって2例失敗するようだと、「アイツ大丈夫か?」と思われてしまう。


若いうち(30代のうち)に中級に到達しようとすれば、かなり症例の多い専門病院に所属して集中的に訓練する環境にいなければ無理だと思う。

大学病院や総合病院(年間1000〜2000例を10人くらいの医師で分け合うことが多い)に所属している場合には、その施設のエース格で長年バリバリやり続けない限り、ここまで到達するのは難しい。


いろんな状態の腸を制御して、一定の軸保持パターンに持ち込めるようになってくる。
軸保持成功率(S状結腸を伸ばさず、SDjunctionを意識することなく通過できる)が7割くらいになる。

軸保持が難しいケースでも、腸は一時的に少し伸びるだけでSDjunction手前で解除可能なので、苦痛を与えることはほとんどない。
(ここではこのようなケースは軸保持成功例に含めていない)

初心者のように大きなループをつくってSDjunctionに強い屈曲を生じ、通過にてこずるようなケースはまれ。


軸保持短縮法の技術が中級以上になると、「SDjunctionが難しい」などと思っていたのは遠い過去の話に思えてくる。
楽な大腸内視鏡検査を行うには、その前段階の「Rs〜S前半」の処理こそが重要であると認識するようになる。

挿入に7〜8分以上要する症例はほとんどなくなってくる。
女性や難しそうな症例があきらかに多く回されてくるようになる。

特殊な患者さん(かなり過敏な人、癒着が強い人など)以外はまず痛がらせない。

大腸内視鏡検査の経験がない者がこのレベルの医師を見ると、一見簡単そうに見えて「自分にもすぐできそう」と思ってしまう。

クリニックで医師一人でやる場合、一日40〜50人の外来+5〜6件の大腸内視鏡検査をスムーズにこなせるようになる。
よほどのことがない限り、予定通りことが運んで時間内に仕事が終わる。

大腸肛門科の専門家として一本立ちできるレベルは、たぶんこのあたりから。



大腸内視鏡検査:300、1000、5000の壁 (見習い・入門レベル)大腸内視鏡検査:300、1000、5000の壁 (初級・中級レベル)大腸内視鏡検査:300、1000、5000の壁 (上級・至高レベル)


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